季刊 表現の技術

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今夜は早く寝よう

俺の中の「もうひとりの俺」を探そうとすると、うまくいかない。

「もうひとりの俺」は、自分にとって「隠したい自分」だったり、「いまのところ隠しおおせている自分」だったりする。自分のなかの「日の当たるところに出すのがはばかられる」「バレたら世間的にまずい」部分だったりする。ひょっとすると、そっちのほうが「本当の俺」であり、「俺の正体」のような気も実はしている。

だから、基本的に表に出したくない。もうひとりの俺を探そうとするとき、俺は必ず自分をあざむく。嘘で防壁をつくって、もうひとりの俺を隠そうとする。探しても探しても、嘘の防壁の長さと厚みを確認できるだけである。

じゃあどうやったら自分の隠れている部分を表に出せるのかというと、

「コツは『もうひとりの俺』ではなく、最低でも『もう2人の俺』を探すことです。『俺B』を探さず、『俺a及び俺b』を探しなさい」

というのが、ここ数日本を読んだり考えたりしたうえでの答えになります。