昭和30年代のパラパラ
都筑道夫の自伝『推理作家の出来るまで』の下巻に、昭和30年代に東京にできた「ヌード喫茶」が描かれている。
《三十年代のヌード喫茶というのは、ノーパン喫茶からあとの露出ぶりから見たら、まったく看板に偽りありで、いまで言えばバニー・ガール、肩と腿をむきだしたウェイトレスが、コーヒーをはこび、客がタバコをくわえると、パンツにはさんでいるマッチで、火をつけてくれる。一定の時間がくると、彼女たちが一列に、座席のあいだを行進し、音楽にあわせて、東京音頭のごとき手ぶりをする。》
東京音頭でもパラパラでもいいのだけど、簡単な手振り中心で踊っている女の集団が僕は妙に好きなのだが、たぶん女体を見せるための口実として、とってつけたような踊りが使われている(以上、勝手な妄想による勘ぐり)という、背徳的な感じが、興奮をそそるのだと思う。