季刊 表現の技術

すべての人間に公開

合理的でないことを言いますけど

合理的でないことはわかっているので、コイツ合理的じゃねえなと思っても責めないでください。

昔はボールペンをたくさん持っていて、引き出しにも、机の上のペン立てにも、ペンケースの中にも、地べたにも、カバンのポケットにも底のほうにも、ボールペンが何本も転がっていたものだった。

そのくせ、ボールペンが必要な時に限って一本も見当たらなかったりした。

そこでオレンジの軸のジェットストリーム一本だけを持つことにして、いつもペンケースに入れて、ペンケースをカバンに入れて、カバンを持って歩くようにしたら、必要なときにはいつでもボールペンが見つかるようになった。

必要なときにいつでもボールペンを使えるようにするためには、ボールペンは一本だけのほうがいい。

 

ストレス対処の手段はたくさんあった方がいいというけど、ストレスが強いときにはどれも今の自分には合わないと思えたり、今ここでは使えないと思えたりしてしまう。ストレスが強いときは頭が悪くなっているから。

下手をすると、あんなにたくさんあったはずのストレス対処法を、こんなときに限ってひとつも思いつかなかったりもする。

ストレス対処法をひとつだけ持って、それをいつでも持っている。そのほうが自分には合っている。

ぼくのストレス対処法は忍術の練習です。忍術は週に1回先生について習っている。忍術の練習は、簡単にいうと体を動かして、その動きを自分で見つめるのである。だからちょっとでも体を動かせれば、いつでもどこでもできる。