季刊 表現の技術

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ケンカ十段・芦原英幸館長の教え

そういえば今週は団地の掃除当番だった!と日曜の午後に思い出した。

となりの棟とのあいだにある通路を、今日中に掃かないといけない。そうしないと百目鬼の婆さん(305号室、自治会役員)に怒られるのでしかたなく掃き掃除をする。

イヤイヤ落ち葉を掃いていたら思い出したのだが*1、高校時代のぼくはケンカ十段・芦原英幸館長の『空手に燃え空手に生きる』を愛読していた。

 

空手に燃え空手に生きる―ケンカ十段のサバキ人生

空手に燃え空手に生きる―ケンカ十段のサバキ人生

 

 

この本はいま持っていないし、なにしろイヤイヤ掃き掃除をしながら思い出したことを書くのだから、以下に不正確な点があるのは許してほしい。

芦原英幸は伝説の空手家・ゴッドハンド大山倍達の高弟のうち、実力でもスター性でも総合点でも1、2位を争う空手家なのだが、空手の試合よりは道場破りやその迎撃、路上でのイリーガル戦闘行為で実績を上げており、だからニックネームは「ケンカ十段」なのである。空手は何段か、知る者は少ない。少なくとも俺は知らないけど、芦原館長はとにかくヤバい、強い。

と言ってもケンカで鳴らしたのは若いころの話です。この本を書いたときの芦原館長は、すでに立派な空手団体の代表である。地元の警察にも逮捕術の指導をするなど、青少年の模範となる立場になっておられたので、ケンカ必勝法的な悪いことは書いていない(若いころの武勇伝は多数出てくるが、凄まじすぎて不良少年が参考にしたりはできない感じです)。

そのかわり、食が細くて太れない人へのアドバイスが出てくる。曰く、「朝起きたら玄関先の掃き掃除をすると、食欲が出る」(大意)。なるほど。朝からモリモリ御飯が食べられたら、それだけでかなり元気な感じだし、健康になれそうである。

運動経験がない人が、体を鍛えたい場合のアドバイスも書いてある。ケンカ十段曰く、「ゴミを見つけたら、膝を曲げずにひろう習慣をつけてみては?」(大意)。なるほど、ゴミをひろうたびに前屈ができるわけだ。運動に慣れていない人がストレッチからはじめるというのは理に適っている。

そればかりではない。

先日、ジムに行ったおぼえもないのにハムストリングス(ももの裏側)が筋肉痛になりおどろいたことがあった。思い当たる原因は、前日に実施した団地の草むしりしかない。

つまり、屈んでなにかをとる、という動きは、裏ももから尻にかけての、人体でもゆびおりの大きな筋肉群を刺激するのである。その意味でも、膝を曲げずにゴミを拾うという運動にはあなどれない効果がある。ストレッチと同時に、ウェイトなしのルーマニアンデッドリフトを行っているようなものであると言っても過言ではない。

 

ルーマニアンデッドリフト↓

さすがケンカ十段、いいことを言うなと改めて思いました。すこし楽しい気分になって落ち葉を掃いた。

*1:イヤイヤなにかをやると、どうでもいいことを思い出すのだとしたら、ときどきはイヤイヤなこともやったほうがいい。どうでもいいことを思い出すことくらいしか、クリエイティブの種はないのだからして。