何かのはずみで小さな雑貨屋に入ってしまい、柄にもなく手にとった絵葉書の絵柄が気に入ったとする。それはオウムガイのエッチングかもしれないし湿度の低い温帯で晴れた空を撮った写真かもしれない。いなり寿司を擬人化したキャラクターかもしれない。
たまたま見つけた絵葉書を、絵柄が気に入ったからというだけの理由で買って、せまい空白に適当な一文(元気ですかとか、こちらは元気ですというようなこと)を書き付けて、切手を貼って、投函する。
そういう不要不急の郵便を送る相手はいますか。そういうちょうどいい距離を置いている誰かがあなたにはいますか。推しがいるというのはそういうことなのです。